エトヴァス ノイエス
本が好きだ。 月に数冊読む程度だが駄作に出会うと落胆し、珠玉の一冊に出会うと時間と空間が満たされたものになる。
私にとって珠玉の一冊というのはある一文が大きな発見を与えてくれるようなものになる。 つまり、その一文はここに書かれている心情や人間関係というのが、俺だけにしか分からない!と思える文章だ。
裏を返せば、まさにいま思いあぐねていることがあり、それの手がかりをつかみたいと足掻いているときに出会う文章であるからこそ、強く思い込んでしまうものなのかもしれない。
そして最近出会った一文がこれだ。
「エトヴァス ノイエス(etwas Neues)とはドイツ語で英語でいうところの「Something new」であり、日本語で言うところの「日に新たに」である。学問の世界に二番煎じはない。先人の積み上げたものの上に、みずからの力で何か新しいものを発見しようとする日々の努力の中から学問の進歩は生まれる。
敬三は、小竹から聞いたこの言葉を生涯肝に銘じ、<私もまた〝エトヴァス ノイエス”のない日は、進歩なき懈怠の一日と思い定めて、常に革新を目指していきたい>(『へんこつ なんこつ』)
保守的だが、私は先人の経験や努力、多くの失敗や成功の蓄積を経ていまの時代や生活があるのだと思っている。
私の仕事もこういうものでありたい。
先人の良いところは引き継いでさらに良いものにならないか創意工夫を繰り返す。ダメなところはすべてを捨てるのではなく小さな改修を繰り返して最適解を探していく。
平凡な考え方かもしれないが、偉大な経営者がこういったことを明文化して大きな事を成し遂げたことに敬意を抱きつつ、自分がいまできることをコツコツやっていこうと思わされた一文だ。
- 作者: 北康利
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/06/24
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